第30回 アメリカの西の端の灯台から『The Last of Us』をネタバレで語り尽くす、音楽性の原点に立ち返ったピコピコキャスト

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@ida_10と@miyaokaがお送りする、『ピコピコキャスト』

  • 登場人物
    • イダテン
    • みやおか(イダテン家に居候中)

灯台に行ってきました

  • ゾンビが発生した世界で立て篭もり(Hordeプレイ)にちょうど良さそう
      • IMG_4573
    • Point Reyes Lighthouse
    • 序盤は階段側だけ守ってればいいが、やがて崖から登ってくるのも対処しないといけないというレベルデザインが見える
    • 非常用発電機があるのもそれっぽい
    • アメリカ最西端とイダテンさんが言ってましたがウソっぽいです

※今回は『The Last of Us』のネタバレ前提で話しますので未プレイの方は注意してください

久々に長々とゲーム語りしました

  • みやおかはちょうどクリアしたばかりの状態でのピコキャス
    • 10数時間でクリアできるという触れ込みだったのでさっくりクリアしてやろうと思ったが数日かかった
    • ゲームプレイが子供に阻まれる問題
      • 日中にプレイするとイダテン家の4人の子供+隣家のエイメンくんがゾンビのように集まってくる
      • いろいろ質問されて全く話も聞こえないし、字幕を読むのも大変なので、画面のシチュエーションで捉えるしかない
      • 日々ゲームに捻出できるのが1時間くらいだとMount&Bladeなんかは到底プレイできない
        • M&Bはエンジンが掛かるまでに数時間を要するタイプのゲーム
        • なのでキャンクラをやってしまう
        • TLoUは日々1時間でもやっていけるゲーム
  • オッサンと娘というテーマ設定

TLoUの物語り方

  • 操作とイベントと感情が合致する
    • 冒頭は無力な女の子の視点を用いて、真っ暗な家の中をさまよい、町に異変が起こっていくのをただ目撃していく
    • ほとんどイベントムービー的だけれども、視点操作にちゃんと感情がノッてくる
    • どこを見ても大変な状況になっていて、実際そうなったら無力な自分はただ周りを見ることしか出来ないだろうという感覚
    • CoD4:MWのオープニングとかでもやってる手法だけれど、こちらのほうが日常崩壊というリアリティがあるぶん強いのか
  • ネタバレ:いきなり20年後
    • ラソンマンという漫画を思い出す
      • 落ちぶれたかつてマラソン選手が小さい息子に励まされ徐々に再起を果たしていくが、ついに迎えた大一番のレースのスタートが切られた次のコマで、時代が飛んで青年になった息子がそのビデオを観ている、という形で第2部になる演出だった(と思う)
    • 今度はおじさんの方を動かすようになる
      • ここから本番か、と思うと同時に、無力な女の子を動かすという新鮮さではなくいつもの普通のゲームになるんだなと感じてしまったりも
      • 50歳くらいのおじさんがそんなに頑張れるのか
      • 唐突だけれど、やっていくうちに20年の空白がだんだん理解されてくる
      • ゾンビ自体が脅威というよりも、生き残った人間派閥同士の資源争い、という定番のシチュエーション。それすらも20年の経過で一通り済んでいる世界
  • 背景で物を語る
    • 災害後の混乱の形跡が言葉以上にアートワークで語られている
      • 避難場所に持って行けない荷物が残されていたり
      • オープニングの状況から当事者としての立場を想像できる
    • 前回のピコキャスで話していたピクサーの背景の話とか
    • 背景がカキワリ的なエンターテインメントのバイオショックとは対比的
  • 文明崩壊後の子供というテーマ
    • 娘を失った父が再び子供を連れるロードムービー
    • 別の生存者の男の子にも出会う
    • 廃墟になった家の中で描かれる子供部屋に力が入っている
    • おもちゃ屋でのやり取り
      • リアルでは画面を見ていた4歳児が「ねぇ、おもちゃ買って!買って!」と叫ぶ
  • アメリカの家
    • リアルに作ってるので間取りが推測できる
    • オープニングで窓の外に火の手が上がるけれど、それよりも外に置いてあるクーラーボックスに目が釘付けになってしまった
      • キャンプやスポーツ好きなアメリカ人必携のアイテム。これイダテンさんちで見たやつだ
  • 文明崩壊後のモラル
    • アメリカで子育てしている身からすると本当に白い目で見られるような汚い言葉を使うエリーに驚く
    • それが間違ってるということ自体を知らないで育ってしまうような社会であることが分かる
    • 日本語文化的に翻訳しづらい。綺麗な景色を見てfuck!と言うのをクソ綺麗だな!とは訳せない

ゲームメカニクス

  • ゲームメカニクスについて
    • B:Iではスカベンジが面白くないし武器も多すぎ
    • TLoUも武器多いなと感じるけど、まあ面白い
    • 基本はステルスのゲーム
      • 天誅が大好きだからステルスはウェルカム
      • でもエリアごとに殲滅が必須だったりする
      • 耳すまモードがあるのでどう攻略しようかと戦略を考えやすくて良かった
    • リソース管理
      • エリザベスが弾くれるB:I
      • B:Iではロックピックは専用アイテムだが、TLoUではナイフが攻撃と鍵開けに使える
      • いかにもな行き止まりに意外と物が落ちてない
        • 無駄な探索にリソースを割かせないようにして、スカベンジはナイフで開ける小屋にがっぽりとまとめて配置
    • 戦闘について
      • 序盤は女の子を戦わせない
    • パズルアドベンチャー
      • 何回ハシゴとイカダが出てくるんだ
      • でもまあ許容範囲内。気持ちが通じる
      • Enslavedに近い
    • 目的地へと進む意識の弱さ
      • チャプターごとに辿り着くべき目的地をあらかじめ見せてくれるが、そこに行くには必ず道が塞がれていて迂回する
      • 迂回路が長いためにどこを目指して進んでいるのかという意識が薄くなり、単に順路を進まされてる感
      • そのへんはノーティドッグの昔からのお約束な作り。メインオブジェクティブのためのサブオブジェクティブ。
      • オープンワールドのスカイリムではドヴァキンに目覚めた時に見上げる山頂から呼び声がして、実際にそこを目指して自分の足で好きなルートで行ける。
  • アドベンチャーゲームの2大問題
    • そのドア、RPGで吹っ飛ばせよ問題
      • TLoUではRPGは出さず、爆弾も対人用にすることで回避
      • 窓ガラスは割れなかった
        • 割るとゾンビがいっぱい寄ってくるという駆け引きにも頑張れば出来たはず
        • 未来のゲームならなんとかしてそう
        • 逆に過去を振り返るとちょっとした壁すら乗り越えられなかったが、今では乗り越えられるのが当たり前。GTAシリーズでもGTA:SAくらいになってやっとよじ登れるようになった
    • プレイヤーキャラが人を殺しまくる問題
      • 対立勢力から語られることで自身のモンスター性が描写される展開
      • メタ言及としてはありがちな話だけど、段階を踏んできちんと感じ入るシチュエーションで語られる
      • 大学での戦いのラストのほうでよくも俺のダチを殺したなという台詞があり、そのへんで前振り的にハッとさせられた
  • ボスが出ないゲーム
    • 強いて言えば、変態野郎との戦いでオーソドックスなボス戦闘が展開される。ステージに皿の破片が配置されていたり
    • あと鹿。外したらウェイポイントを周回していく
  • エリー編へのバトンタッチ
    • 新鮮!
    • 一つの季節が過ぎてジョエルは当然死んだと思った。生きられるわけない
    • 対価にペニシリンを要求するところでまだ生きてるのか!
      • 薬信仰。AKIRAの世界でも抗生物質は貴重品
      • ペニシリンってよく知らないけどすごい。ジョエルさん大復活
        • エリーを犠牲にワクチンを作ろうとするところでも、世の中がペニシリンを得たのと同じくらい重要だと語られる
        • JINでもペニシリンが最終目標に
  • エリーが戦ってサバイブしていく
    • エリー操作になり、弓矢も銃も一人前になっていることを認識する
    • 序盤は子供に武器を持たせないようにしていたが、そうせざるを得ない過酷な状況によって、間違った方向に進んでいってしまう
      • ホテルでジョエルのピンチを助けるために初めて人を殺してしまう
      • 暴徒の集団相手にスナイプ援護
      • 大学では瀕死のジョエルをかばって跳躍乱舞
    • B:Iで共闘するエリザベスにはなんかそういう変化あったっけ?
      • ティアを開くと具合が悪くなるという設定だが、プレイヤーは気軽に頼む
  • 動物は襲ってこないTLoU
    • 過去の動物トラウマ
    • そんなトラウマのために当然TLoUでは先制して始末しようと思ったが、判定がフレンドリーになっていて引き金が引けない
    • DeadSpaceだったら確実に頭を踏みつぶしていく精神
    • 犬どころか猿に襲われたらどんな機動でやってくるのかもっと恐ろしい
    • 殺せてしまう方がお前はジョエルだ、となるのでは?
  • ホラーではない演出
    • 暗いところをライトで照らしたり、ゾンビが出たりするけど、ホラー的な怖さはない
    • バイオハザードなんかだと分かっててもびっくりする怖がらせ方をする
    • 戦うべきところではフォロワーがしゃがみ、クリアになれば立って歩く。これにより安全かどうかがすぐに分かり、探索なのか戦闘なのか状況を把握して集中しやすい
  • ゲームリテラシー
    • フォロワーが立っていても、気をつけて!危ないから耳をすまして!と言うイダテン次男。
    • 敵が落とすアイテムは装備武器と直接関わりがなくランダムだが、あの人の銃を奪おうよ!と言ってくる次男。まだ現実とゲームの区別がついていないニワカ。
    • そうしたゲームのお約束を当然の事として知ってしまっている自分は、20年間サバイブしてきてすっかり狂ったモラルのジョエルに近いと言える。いい話
    • エリーが汚い言葉を使うのはデジタルネイティブ
  • 性に関する話
    • エリーは14歳だから生理もあるだろうし体に変化も出てくる。そういう教育はなされてるのか
    • 男の子とは積極的にイチャイチャ
    • 紅の豚ではフィオを襲うなよと釘を刺す(パヤオ視点)
      • マーリーンからオッサンに託されるときにそうしたことが何も言われない
    • 略奪や殺人の話はあるが、レイプされたというようなログは見かけなかった
    • リアリティが薄いというか、敢えて避けてる感じ
    • 自殺島という漫画ではモラル無き世界でハーレムを作ったりして嫌な描写だけどリアリティがある

エンディング

  • 徐々にゲームキャラクターと自分の気持ちが乖離していった
    • エリーの手術室で医者を撃ち殺してしまう。殺さないと進めない強制的な選択
    • 病院内でファイアフライのメンバーを問い詰めて撃ち殺してしまうムービーが流れた後、そんな厄介な状況にしておきながら自分にプレイが回ってきた時にうわあと一番心が離れた
      • それまではムービーシーンとプレイが交互に繰り返されきちんと心が乗っていたが、終局に向けてズラしてきた感
  • ゲーム的選択不可能性
    • 手術室では殺すしか無い
    • おもちゃ買って!とか車乗って!とか子供たちが要求するが、ゲーム的にそんなアクションは存在しない
    • セプテントリオンではエレベーター内に取り残された船員が助けを求めてバーナーを探せと言うが、バーナーを管理していた機関士は死んでおり、そもそもゲーム中にバーナーは存在しない
      • そう聞くとバグっぽいねw
      • イベントではないけどそういう設定。助けることがあらかじめ不可能になっているというところにデジタル的な運命を感じる
      • 選択を選び取っていくゲームというシステムにおいて、選択できないことにかえって意味が見出される
  • Swear to me.(誓ってよ)
    • プレイヤーの心が乖離したままエンドを迎える
    • 大団円ではなく心にしこりを残したままのほうが余韻が感じられる
    • ジョエルは俺じゃないし、世界は救えない
  • 印象に残るキリン
    • エリーとプレイヤーの心を一時和ませる存在
    • 会社の知り合いは「あ、絶対キリンがゾンビになるんだ!」と感じたらしい
    • 手術室の奥の小児病棟の壁にもキリンが描かれているのを見て、これ全部昏睡状態のエリーの精神世界?とちょっと怖くなったりもした
      • 脳に寄生されたことでなんかチャンネルが開いたとか
      • ジョエルさん復活も大量の警備の真っ只中を突っ切れるのも夢オチなら納得
  • 生活インフラの話
    • 電力、水、食糧
      • 電力はとりあえず安泰に
      • 雨水を貯めこむ方法を発明
    • 食糧難をステータスで管理するState of Decay。イベントで処理するTLoU
      • ステータス主義のみやおかだが、TLoUをやったらState of Decayがめんどくさすぎる
  • パラメーターを管理するゲームとストーリーを語るゲーム
    • 大事なイベントで盛り上がってきたのに便意とか管理するのは食い合せが悪い
    • シムズは便意をコントロールするゲーム
      • 食事、睡眠、と並んで便意がある
      • 放っておいても勝手に食べたり寝たりトイレ行ったりするが、便意ぎりぎりになってから行き始めるのでトイレがかち合うと使えずにお漏らししてしまう
      • なので目ざとくトイレに行かせるような管理プレイ
    • パラメータを管理するだけで自分的にストーリーが醸成される
  • 物資を探してしまう問題
    • エリーそっちのけで周囲を確認してスカベンジする
      • 20年のサバイブ経験者としては正しい行い。隔離施設で育ったエリーには分からないこと
      • イダテン次男には早く行かないと先行っちゃうよと言われるが、プレイヤーが進まないと行くわけ無いじゃない
  • The Last of Usというタイトルの意味
    • アイ・アム・レジェンドみたいに世界に二人だけという感じかと思ってた
    • 娘を失った贖罪の意識
      • 贖罪と言えばまたB:I
      • この間キャンプに行った川で、結婚式かと思うほど陽気に洗礼してた
    • 最後に視点が変わってジョエルを説得するゲームにしたらいいんじゃないか
      • 川に連れて行く、が正解
    • マルチエンドにしても結局両方見るでしょ
      • ひとつ見たら強制的に上書きして再開できないようにする
      • ウイイレのハードモードはリセットすると大差で負けたことになる
  • 結局面白ければいい、という一番嫌いな台詞が出てきてしまう
    • トータルで面白いということが正義
      • 面白いストーリー
      • 全力でサポートする背景
      • そこそこ面白いゲームメカニクス
    • そういう意味ではイダテン的にB:Iも面白かった
    • みやおか的にはB:Iにストーリーもメカニクスもいまいちで、天上世界に魅力を感じた
      • 海底都市ラプチャーや天空都市コロンビアこそが主人公
      • TLoUでは背景はサポートだけに徹していて、エリーに気持ちが集中できるのが良かった
  • ICOに影響を受けている開発者
    • でもエリーとのインタラクションでコントローラーが震えない
    • 終盤の川でキャッチするところだけ震えた
    • 手を繋ぐくらいで震えるのはおかしいと思っているのでは?
  • 敵のバリエーション
    • ボス戦が皆無
      • 強いて言えば医者がラスボス
      • 武器を貯めこんだけど使わなかった
      • FFのエリクサー使わない問題
    • 突然変異で空飛ぶ敵とか…
      • 人は飛ばないじゃん、ビリーバビリティ台無しじゃん、飛ばさないでよ
      • 後藤(寄生獣)だって飛ぶし…。いや1巻の犬が飛ぶんだった
        • 翼に気を散らしたからアイツは死んだ(ミギー談)
        • だから20年の間にそういう面白種は淘汰されたんでしょ
  • ボスを出さないことで信頼を勝ち取った
  • 食糧問題
    • 20年も備蓄食料あるのか?まだ探せるものなのか?人口減ってるから数量的にはそのくらい持つ?
    • ネズミを売ってたり、人肉を血抜きしてたり
    • 盗賊が人を殺して物を盗らずに食糧だけ探す
      • 女性を襲ってるのにレイプしない問題
      • 子孫を残す問題
      • エリー達はゾンビ発生後に生まれている世代
    • State of Decayでは農作物を作る
    • 馬を使うにも餌が要る
    • イントゥ・ザ・ワイルドという話で獣を狩っても一日でウジが湧いてしまう
    • さいとう・たかを「サバイバル」
  • トイレ問題
    • 疫病が発生するから気を払わないといけない
    • 地震の被災地では衣食住の問題は想像しやすいが、トイレ事情は話題になりにくい
    • たしか古屋兎丸「彼女を守る51の方法」では大量の紙と便で埋まった便器が描かれていた
    • やっぱりゲームに便意は必要。シムズやるべき
  • 心を数値化したゲーム
    • シムズ2にはフィジカルなパラメータ以外にメンタルのゲージもあった
    • クトゥルフSAN値がちょっと近い
    • メンタルゲージが下がりきるとノイローゼになってしまい、その人にしか見えないキャラと会話するようになる
    • フィジカルを数値化するのに対し、メンタルを数値化するのはなんとなく乱暴な印象があるが、心の風邪をひくといった比喩的に分かりやすい