第45回 4ヶ月ぶりの季刊ピコキャス便り。ベイマックス、Boyhood、FF13の話など

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  • 登場人物
    • イダテン
    • みやおか
    • めぐみさん(イダテン奥さん)

※『ファイナルファンタジーXIII』『幼年期の終り』のネタバレ前提で話します。未見の方はご注意ください。

[01:30] ひさびさ

  • 盛りだくさんな今日のレジュメ(話しきれなかったので次回に持ち越し)
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[07:22] 『Big Hero 6』(邦題:ベイマックス

  • 何回観た?
    • イダテン:2回
    • めぐみさん:3回
    • みやおか:0回
  • なんで観てないの?!
    • 前回のガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー後遺症で、マーベルはもういいかなー…って
    • 作品同士がリンクするマーベル作品を本当に楽しむためには全部追っかけないといけないじゃない
    • ていうか、それよりもみやおかが絶賛してたシュガー・ラッシュのスタジオ最新作という文脈でしょ
      • そっかー、でもヒーロー物ってのもそんなに求めてないし
      • 日本では感動作として売られてたじゃん
      • でもネットの感想だとやっぱちゃんとヒーロー物でした、って…
    • 出た!出た出た!メタスコア至上主義者!
      • ネットの情報、さいきん全然当てにならないから、観るしか無いんだよ
  • 求めてるもの(みやおか)
    • 映画でエンタメを見たいわけじゃない
    • ゲームでもエンタメを求めてるわけじゃない
    • 知らない視点とか、文化とかかなあ
  • ベイマックスで良かったのは文化(めぐみさん)
    • 話自体はFrozenみたいに凝ってないけど、3回も観たのは描かれる文化が良かったから
    • キャラクターの生活描写などは無いのにすごく説得力がある
    • 自販機とか路地裏とか、背景アートの作り込みで伝えてくる
    • 『The Last of Us』の回でも話したように、しっかり作られた背景美術のおかげでその中で生きるキャラクターってのがすごく実感できる
      • そうそうそうそう!そういう感じ!
      • じゃあもう観たと言っても過言ではないね
  • アーティストの人たちの感想が印象的(イダテン)
    • ストーリーについては全然触れず、とにかくbeautifulって感想が多かった
    • みやおかさんの言う「ネットの感想」とは違うワケよ
    • 日米で宣伝の仕方が違うとか、実はヒーロー物だとかそんなことには触れず、ただ美しかったと
  • 人種の捉え方も面白い(めぐみさん)
    • ステレオタイプなんだけど、悪い気がしない
      • メキシカンの女の子のハイテンションぶりとか
      • 一人っ子白人の金持ちっぷりと変人っぷりとか
      • 黒人が温和で気が小さいとかも、アメリカ視点ではあるある話
      • 日本人は髪が長い。小さくて細いけど頭がいい
  • そう聞くと『がんばれ!ベアーズ』って映画を思い出すね(みやおか)
    • 少年野球の映画なんだけど、チームメンバーの構成が多民族国家アメリカ自体を表してる
    • 白人、ヒスパニック、ユダヤ人、黒人など。英語も喋れないメキシカンとか、白人のほうが少なかったりとか
    • 建国200周年となる1976年の映画だから、最後に星条旗がはためいたりしててアメリカの理想を物語ってる
    • 自分の中でアメリカ映画の醍醐味ってそういうところ
      • 現実的には差別とかあるんだけど、映画の中だけは理想を追求しましょうという文化
      • 絶対に現実はこう上手く行かないんだけど、それゆえにか映画の中だと感動する
    • それ、ベイマックスじゃん…!
  • 生活感の見せ方
    • 普通だったらその世界の背景オブジェクトを登場人物が使うことで実際に生活を見せるけど、ベイマックスではそれを使わなくても生活文化を見せていたのが新鮮
    • そういうのはアメリカ以外の人が見ても分かるものなの?
    • みやおかさんの言う「ネット」ではそういう感想見たこと無いね
  • ディズニー映画の尺
    • 最近はみんな2時間超え(→調べたらほぼ100分じゃん!)なので短くしないといけない
    • Mr.インクレディブルでは各キャラ集結してからわりとあっさり終わる
    • ベイマックスでは主人公にフォーカスして仲間は省略気味
    • そうした制約の中で背景で物語るようにしたんじゃないか
  • 背景とキャラクター
    • Frozenでも思ったけど、フォトリアリスティックな背景とアニメキャラが違和感なく馴染むのがすごい
    • キャラが浮かないライティング
    • 一昔前の作品を見るとキャラが浮いてるのが顕著に分かる
    • 地味だからネットの観測範囲ではあんまり話題になってないけどすごい
      • イダテンさんの観測範囲が間違ってるんだよ
  • 結局マーベルなんでしょ
    • ニワカでもマーベルリスペクトぶりは分かる
    • タイトルが最後に出るお約束とか、カメオでスタン・リーが出るとか
    • ディズニーはブランドを買っただけじゃなくてマーベルをきちんと取り込んだんだなと
    • スターウォーズも買ったけど、そちらはルーカス実権
    • 文脈的な意義としては、ディズニー帝国がきちんと力を入れてマーベル作品を作り上げたと
  • だから観たほうがいいよ
    • そこまで言われてもまだ観る気にならない
    • そのくらいGotGの後遺症がデカいのかもしれない
  • 自分がどのくらいアメコミを理解してないかを考える尺度としてジョジョにたとえてみる
    • いきなりジョジョリオンとか読んで面白いか?
      • いや面白いかもしれないけど
    • 人間を超越した吸血鬼、究極の生物、時を止める敵、時を巻き戻す敵、時を吹き飛ばす敵、時を加速させる敵、次元を超える敵、という作品世界の積み重ねがあり、そういうのを把握していると、人間が何と戦ってるのかというのが意識できるというか
    • マーベルをちゃんと楽しむのもきっとそういうものなんじゃないかなと思って
    • じゃあ、まずは見てみて、興味を持ったら調べたらいいんじゃない?
      • GotGでそんなに興味出なかったんで…
  • マーベルじゃなくてシュガー・ラッシュの系譜で考えたら?
    • シュガー・ラッシュはやっぱりゲームという思い入れあるテーマの消化の上手さに感動したからなあ
    • ヒーローってものには特に思い入れ無いし
    • ヒーロー物っていうか浅くてさらっとしてる。きれい
    • それがまさにGotGで自分には不満だったところなので…

[33:14] 『feast』(邦題:愛犬とごちそう)

  • ベイマックスの同時上映短編
    • Big Hero 6がベイマックスなのは良いけど、feastが愛犬とごちそうなのは全然納得行かない
    • 邦題がミスリーディングなんだよね
      • じゃあ愛犬を食べちゃうの?
      • ううん
    • 仔犬が男の人に拾われて、その男と恋人との話
  • 男の人がくれるジャンクフードを一緒に食べる
    • その食べっぷりが一部ネットで物議を醸しているらしい
    • ジャンクフードを犬に食べさせるのは虐待!
      • アメリカでも話題になってるの?
      • いやアメリカだと全然
      • 日本で憤ってる人が多い
      • アメリカではピザにはトマトソースついてるから野菜でヘルシーって考えだからでしょ
      • ポテトチップも野菜
  • 愛犬とごちそうってタイトルにした時点で愛犬が主役になっちゃう
    • でも原題ではごちそう自体が主役。人は脇役だし、犬は狂言回し
    • 男はジャンクフード好きで、女はベジタリアン
    • 夫婦になり子供ができていく人生模様を食事で表現している
    • だから主題が愛犬と捉えられてしまうと無駄に憤らせてしまう
    • ターゲットオーディエンスでは無い人が憤りがち
    • 基本的に子供をターゲットとしているから、あれを虐待と受け止めるのは相当ひねくれた子供
  • 私達からすると妖怪ウォッチのほうがよっぽど…!
    • それは俺一緒にしないでしょ
      • えーなんで?
      • 知らないもん。炎上しそうだし
    • 猫が轢かれて妖怪になって、主人公がそれにダサいと言う
      • これこそひどくない?こんなの見ちゃダメって思っちゃう
    • 今話題の襲撃受けたフランスの風刺漫画があまりに品が無くて日本でバカにされてるのにも近いような
      • それをもってしてフランスってこんなに文化が低い、というよりは、そうした文化のすれ違いがありそうに感じる
    • 妖怪ウォッチで日本で当たり前にやってるギャグが外国から見るとドキッとしてしまう
    • イダテン家でプリキュアを見てると裏のエイメンくんが「こんなSexualなの見せていいの?」とびっくりされた
  • 映像的にもすごい
    • コンセプトアートがそのまま動く感じ!
    • たぶん3Dで作ってそういう風にレンダリングや後処理してる
    • ありそうでなかったというか、無茶苦茶めんどくさそうだから
    • 『The Dam Keeper』は近いけど2D
  • 単語タイトル
    • feastみたいなハイセンスな上手さ、ってなんか外国短編とかだとよくあるイメージ
    • だいたい単語一語だけでさらっとタイトルつけてうまく消化させる
    • それが日本だと、単に「ごちそう」ってタイトルでは出せないような感覚がある、気がする
      • え、こんなに盛りつけ少なくていいの?みたいな
      • じゃ、じゃあ愛犬もつけとく?みたいな
    • そこも文化的というか、音節数とか言語的な問題かも
  • ハイセンスなゲームも一語だけのタイトルが多い
    • BraidPortal、Limbo、Black
    • お前らSEOのこと考えてないだろ!困るじゃん!ってタイトル
    • Braidが日本語だったら「三つ編み」ってタイトルになるとは考えづらい
    • Portalも「次元銃と旅の物語」とかそんな感じじゃない?
    • 日本で英語一語タイトルにあたるのは、けいおんとかゆゆ式とか4文字系タイトルかもしれない

[48:10] 『Boyhood』(邦題:6才のボクが、大人になるまで。

  • そしてBoyhood
    • 邦題が「6才のボクが、大人になるまで。
    • 調べたけどびっくりしたよ俺!
    • あまりに感動した作品だから、滅多に書かないけどブログ書こうと思って調べたらそんな邦題だった
    • 目を疑ったもん。ああいうのこそ正気を疑うんだよね
  • 感動物ストーリー系のタイトルお作法
    • 『The Blind Side』は「しあわせの隠れ場所」
      • 貧しい黒人青年を裕福な白人夫婦が拾い上げて有名アメフト選手に育て上げた実話ベースのお話
      • 映画本編では小さめのフォントでThe Blind Sideとさらっと出るのが良かったのもあったので、ますます齟齬が生じる
  • 言語的しょうがなさ
    • 配給会社の担当がどうこう、というよりは言語的な問題なんじゃないかと感じる
    • 逆に日本コンテンツをアメリカに持って行くと異様にマッチョに盛られてたりする
    • アメリカ版ナウシカのビデオパッケージは斧持ってたり
    • なんでこんな感じにするの!?って思っちゃうけど、そうしないと収まりがつかないしょうがなさ、というのがあるのかもしれない
    • インターステラーインセプションなどのSF物はカタカナそのまま出していける
  • Boyhood
    • 感動物っぽいとやっぱそういう邦題なんじゃ?
    • 「少年時代」でいいと思うんだけどなー
    • それ「少年期」じゃない?
  • 大人になるまで。
    • 大人になってないからそこが気になる
    • ボクってカタカナで書くのも気持ち悪い
    • そのタイトルが気になって結局見なかった(言い訳)。機会損失
  • 日本語の弊害
    • 特に数学なんかは用語を日本語にしてるせいで無駄に理解を遠ざけてる気がする
    • 英語のままのほうが知らない概念でも意味が分かる
  • リチャード・リンクレイター監督の邦題運の無さ
    • 『Before Sunrise』→「恋人までの距離(ディスタンス)」
    • アメリカの学生がヨーロッパの列車に乗って行きずりの恋という設定にイダテンは惹かれたのに、タイトルが意味不明
    • テレ東にたまにあるこだわり番組「シネマ通信」で紹介を見たのをすごく覚えてて、Boyhoodの監督だと分かった
      • シネマ通信は2回復活を遂げたけど2011年に終了したとのこと
  • すごく良かったので日本語版で見たい
    • というのもスラングがすごく多い
    • アメリカと言ってもベイエリア以外住んだことが無いので、劇中のテキサスでは訛りもスラングも違ってて分からない部分が多い
    • ノリは分かるんだけど、スラングそのものが分からないので字幕や解説がほしい
  • アメリカに住んだからこそ分かる時代性
    • 夏休みを12年間撮っているのだけれど、ちょうどイダテンがアメリカに住み始めてからの時期と合致する
      • ハリーポッターアメリカで出版されたときにみんなコスプレして買いに行くとか
      • 2000年生まれの長男にも近い年頃
    • それすごいっていうか、かなりイダテンさん向けな映画だよね
  • 音楽の選曲
    • グラミーとかミーハーな曲よりはラジオで人気があった曲が中心
    • GotGのAwesome Mixが、FENを聞いてたイダテンの心情に合致してて刺さる感じ
      • みやおか的には、まあ聞いたことはある懐メロだなあくらいな感覚だった
    • Phoenixというフランスのバンドがアメリカでブレイクしたときの曲とか
    • そういうのはアメリカに来てからのラジオ文化
  • ドラマ
    • オバマ支持の家庭っぷりとか
      • じゃあ単に感動作じゃなくて思ったより文化色が強いのかな?
    • でも子供の思春期とか普遍的
    • 親が離婚して再婚相手がDVだったりとか
      • そりゃかなりドラマ仕立てだね
    • 大げさにはせず、ひたすら淡々としてて、親が子供を理解してないのとか、子供はそれで絶望してるのとかすごく客観的に描かれてる
    • あーこういう風になってるんだ、と自身も客観視
  • 複雑ないろんな気持ち
    • 人間の舌は複雑な味のほうが美味しいと感じる(ネット調べ)
    • ディズニー狂の岩丸さんがミュージカルは音と動きの情報量に脳がフローするから楽しいって言ってた(岩丸調べ)
    • 自身の子供時代と、現在の自分の息子と、映画の中の話が混ざる
  • 長男次男と一緒に見に行った
    • 周りの大人達がいじりまくる
    • ニッセンのカタログみたいなやつで、女性モデルが下着を着てるページを倉庫裏で友だちと見るシーンとか「お前らもやったんだろ」とからかわれる
    • 家に帰宅すると、ラップトップを急にバタン!と閉めたり。「これこの前やってたじゃん」
    • 複雑な年頃だねー
  • 10年間の物語
    • 橋口亮輔監督の『ぐるりのこと。』という映画が良かった
    • Boyhoodみたいに実際10年かけてるわけじゃなくてそういう設定だけど
    • ある夫婦の話で、流産してしまったことから奥さんが鬱になり、そこから10年向き合っていく
    • 90年代を舞台にしてて、旦那役のリリー・フランキー法廷画家となって激動の90年代当時のオウムとか宮崎勤とかいろんな裁判の人間模様を見つめていく
  • 作中のリリー・フランキーがちょっとイダテンさんっぽかった
    • まあ、いいかげんなキャラクターで
      • 聞き捨てならないね
    • 奥さんは鬱になるし、仕事では変な人をいっぱい見るし、けっこう大変な状況なんだけど、絶望せずシリアスになりすぎずになんとかやっていく
  • そもそも12年ってドキュメンタリーなの?
    • ちゃんと脚本があるドラマ
      • 役者の人たちと一緒に作り上げていった
      • Before三部作もそういうスタイル
      • 私小説みたいな感じ
    • 12年もかけて作るってすごい大変そう
      • そういう作り方のキャッチーさとは関係なく、見てると引き込まれて普通に映画として面白かった
  • 子供と見に行ってなんか変わった?
    • 優しくなろうと思った
    • 「分かってないくせに心配してるとか言うな」って言われそうだなって思った
    • 逆じゃない?
      • イダテンさんが子供にそう言って、子供たちから「分かってなくてごめんね」って気を遣われそう
  • 子供を描いたドラマ
    • 最近だと『少年と自転車』が印象深い
      • 自転車映画は名作
    • ベルギーのダルデンヌ兄弟監督。ドキュメンタリー畑出身で、社会派ドラマ映画を作ってる
    • 父親にある日突然捨てられてしまった少年を主役に、成り行きで助けを求めた女性に保護者になってもらい、ものすごく危うく不安定ながらも成長していく
    • 15年前の作品で似たような子役を演じていたジェレミー・レニエを本作では育児放棄する父親役にしている
    • 音楽が要所に3回しか使われないのが効果的
    • エンディングの切り方がいかにもヨーロッパ映画らしくて好き(具体的なグッドエンドまで描かず、予感を持たせたところで終える)

[1:23:05] 『ファイナルファンタジーXIII

  • 2014年末にSteamでリリースされた最新JRPG!!!
    • これで最新ゲーマーの仲間入りだ!やったー
    • でもPS3でのリリースは2009年末らしい。5年ビハインド!
  • JRPGwww
    • 正直に言えば、バカにしてると言わざるを得ない面はある
    • でもアニメ、漫画、映画とか見てると、アメリカのビッグタイトルは全方位から誰にでも受けるような作りに感心させられるけど、日本産に求めているのはそういうところじゃない
    • ハイコンテクストすぎて人を選びすぎなイメージ
    • 近年のFFをやってない層からするとそういう文脈に見える
    • Steamの大作洋ゲーがひしめく中で光り輝くJRPG
    • 洋ゲー観からすると、お話もスタイルもシステムも独特すぎて気になっていた
  • 買うきっかけ:音楽が良かった
    • Steam版のPVが素直にいいなあと思って、何度も見返して、買った
    • 戦闘曲が防護呪文などひと通りセットアップを終えてさあこれから殴るぞ、っていう1分ちょうどあたりにストリングのサビが来るような構成になってて良かった。
    • FF15のPVも感動したので、公式コラ素材が出た時に速攻でChrome拡張作った


  • 一本道問題
    • 13って一本道すぎるって騒がれたやつ?
    • よく知らないけど、どれも一本道なんじゃないの?
    • FF13からは13-2、13-3、そしてFF15とシリーズ化してる
    • FF13しかプレイしてないけど、13-2とかだと13でのもろもろの批判を踏まえて一本道じゃなくしたりしてるらしい
  • ファミコン時代からの老害世代
    • 6か7くらいまではやるけど後はシステム的にもドラマ的にもついていけないというか、卒業する層が多いイメージ
      • 俺じゃん
      • でも10はやったんでしょ
      • やれって言われて半笑いでやって、キャプ翼みたいなのをやった
  • 6人のメインキャラクター
    • 主人公格のいつでもシリアス姉さん
    • 熱血バカあんちゃん
    • 不思議ちゃん
    • 親の仇討ちに燃える少年
    • 子持ちのアフロ黒人おっさん
    • 威勢のいい姐御
  • 基本的には若いキャラたちが葛藤するドラマ
    • 話の展開にどうしてもついていきづらい
    • そこに黒人アフロのおっさんが居ることで、30過ぎのプレイヤーとしては自分の視点を託すことができて助かったと感じる
    • 絶望を乗り越え前に進んでいくドラマ展開はどうしても若さで前のめりになってしまうのだけれど、おっさんキャラが「おいおい、オトウチャンには辛いぜ」みたいな感じで水を挿してくれる
    • 10代20代のプレイヤーならメインの理想に燃えるキャラ視点だろうし、おっさん視点からはそういう若さを横で見つめてアツいなあとジーンとしたり
    • いろんな世代向けに自分の立ち位置があるキャラが配されている感じがちゃんとしてる
  • キャラクターの掛け合い
    • 6人居るんだけど、本編半分くらいまでは二人ずつのパーティーに分かれて道中を進んでいく
      • 性能の違うキャラを使い分けていくシステムのチュートリアル的でもあるし、二人ずつに絞ってキャラクタードラマを掘り下げていくところでもある
      • おっさんキャラの相方は不思議ちゃんの女の子で、だいぶ接待感がある
      • 6人全員揃ってからがプレイヤーに自由が与えられる本番。6人から3人選んで初めて好きにパーティー編成したり、少し開けたフィールドに出たり
    • 黒澤明七人の侍
      • 志村喬演じる勘兵衛をリーダーに、それに付き従うイエスマンや、孤高の剣士、農民とのハーフ、そして新米の若侍などが組織関係を作っていく
      • 若侍は未熟で足手まといということをみんな分かっているが、それ故にこいつだけは死なせないようにしようという目標が組織に生まれる
      • FF13でも親が死んでしまった少年がその責任の所在を熱血あんちゃんに求めて仇討ちのように付け狙うという時代劇的な後ろ暗い理由でパーティーに加わるが、なんやかんやあって葛藤を乗り越えて成長した後はチームの精神的な原動力となっていく
    • 世界設定はともかく人間ドラマの組み立ては上手く出来てる感じ
  • バカにしがちだからちゃんと評価したかった
    • もともと期待してたのが画期的なゲームシステムとかやり込みとかでは無くてドラマ部分だったので、一本道のほうが迷わなくてラク
    • でもカットシーンを見るだけでは全然深みは生まれない
    • 一本道で配置された敵と強制的に戦わされていくことで、時間をかけた道中の積み重ねがあるからこそドラマの重みが出てくる
  • どっちかっていうと『The Last of Us』に近いと感じた
    • 一本道って要はアドベンチャーだし
    • 配置されている敵を乗り越えて、カットシーンがあって、ドラマが生まれて、という繰り返し
    • ストーリーがそれだけ楽しめるものであれば
  • ストーリー自体についてネタバレ
    • メインターゲットな10代の人たちにとって、ちゃんと主題が理解されてるのか
    • まず世界設定から説明すると、地球みたいな大地の上にラピュタみたいな空中に浮かぶ球体(コクーンと呼ばれる)があって、人類はその球の内側をスペース・コロニーみたいにして生活している
      • コクーンと下界では昔戦争があったので、人々は下界を地獄のようなものだと恐れている
    • で、結末から言えば人類が繭である天上コクーン世界を破り出て、下界の大地に降り立つ話
      • ナウシカとかウテナとか古事記に近い
      • でもクリスタルがどうのとか呪いがどうのとかそういう要素の話が強いから、結局どんな話だったかという部分が納得して理解されているのかどうか
    • ホストみたいな人たちがかっこいいセリフを言いながら戦うゲームだと思ってた
      • まあ戦うんだけど、FF13では主人公たちに力が与えられて、それが実は繭世界を滅ぼす力だった
      • 滅ぼさないとゾンビになってしまう
        • んん??
      • とにかくまあ力を授けてくれたのがラスボスで、お前たちは世界を滅ぼす使命を果たすのだ→そんなことはさせないぞという葛藤
  • クラーク『幼年期の終り』ネタバレ
    • って読んだ?読んでない?まあいいや
    • 冷戦期で核戦争の危機にある地球が舞台で、そこにある日世界の都市の上空に超常的な異星人(オーバーロード)が現れて人類を支配する
    • と言っても武力支配するでもなく、あまりにオーバーテクノロジーなので人類が何をやっても通用しないためどの国も諦めて支配される
    • そうして人類が平和な支配を甘受して戦争が無くなり、なんやかんやあって何百年か経って、最終的に人類補完計画で人類は新しい存在に進化を遂げて地球から飛び立っていく
    • 飛び立つ人類を見守る異星人の悲哀はまさに保護者そのもの。彼ら自身は進化の行き詰まりにあって、人類を正しく導く中間管理職として人類誕生からずっと見守っていた遥かな親視点というのが明らかになる
  • FF13のラスボス
    • ラスボスの役割は、繭を守り人類を育てる制御プログラム、というのが幼年期の終りオーバーロードに近い
    • 繭を壊す時が来たが、守る役目なので自分には壊せない
    • そのためプレイヤーたちにラスボスを殺して繭を壊すための力を与える
    • まあ結局なんかラスボスの思惑通りに繭をぶっ壊すんだけど、そこで壊す力を使って人類を救う
    • 続編は未プレイだけど、シリーズ化していることから国生みの神話といったプロローグ的なものに感じる
  • 思考回路も一本道
    • すごく壮大な話だけど、ゲーム的に進んでいけば終わるだろうという期待
    • キャラクターは自分たちが世界を救うのではなく滅ぼす使命なのだと知って、じゃあどうすればいいんだと何度も葛藤するが、結局進むしか無いんだと悟りをキメる
    • それがプレイヤーの心情と合致する
  • FF作品のコア
    • 自分たちの世代だとファミコン時代のFFが原点であり最高ですと言いがち
    • でもFF13をやってみたら、システムにしろドラマにしろ、ああFFっていうのは昔からこういうことをやりたかったんだと感じられた
    • ファミコン当時はドット表現に落とし込まれてああいう形になったが、やってることは変わらない
    • コアになるものが存在し、それが時代時代の技術によって表されている感じ
  • 北米ヨーロッパのゲーム史的にはそういうの多い感じ
    • BungieMarathon→HALOとか
    • GTAが見下ろしのドライブゲームから3Dの箱庭になったりとか
    • やりたいことはずっと変わってなくて、それがようやくできるようになった
    • ドラクエは?
      • 7くらいまでしかやってないけど、ドラクエは逆にファミコン時代に形作られた「ドラクエらしさ」を原本にしてそれを守ってるんじゃないかなあ
      • コマンドウィンドウとかUI周りが特にファミコンっぽさを残してる感じ
  • モダンな戦闘システム
    • 倍率高めて殴るのがパチンコとかパズドラ的でモダン(5年前だけど)
    • リーチかかってフィーバーすると敵を空中に打ち上げて一方的にエリアルコンボをキメられる
    • 追撃し続けてると滞空したまま落ちてこない
    • ドラゴンボールとか格ゲーとかの文化的コンテキストあってこそのものに感じられる。知らない文化圏からしたら奇妙
  • ザコ敵らしくないザコ敵
    • シンボルエンカウントでフィールド上に見えてる
    • 避けようと思えば避けられるが、戦ったほうが成長ポイント貰えるし、バトルがメインのゲームだからバトりたい
    • 一本道で低レベル地域に戻ることもないため、瞬殺するようなシチュエーションも少ない
    • なのでレベルデザイン的に無駄なく厳密に配置されていて、どの敵も2,3分はかかるような歯ごたえで構成される
    • 何も考えないとザコ敵で死ぬこともしばしば。基本と応用を使って乗り越えていくアドベンチャー的に用意されている障害という感じ
  • クリア時間に表れる厳密なデザイン
    • 自分はクリアに48時間かかったけど、想定クリア時間が50時間ということで、ほぼ正確にデザインされた通りに進んでいたのに驚く
      • 道中ある程度自由に振る舞ったつもりでも全て手のひらの上
      • 誰がどうやってもそう変わらないようになっているだろう感
      • まあムービーの時間が長いというのもあるけど
    • 半分くらいの時間はチュートリアル
      • 戦闘システムがわりと複雑だし、キャラクターの個性を理解するために、延々と限定的な状況で戦っていく
      • チュートリアルだなと感じさせられるのではなく、新しい要素が徐々に紹介され続ける
      • 一本道で飽きさせないためにsomething newを提供し続けるデザインかも
    • すべての要素を活かせるようになる頃にはラスボス
      • ストーリーはそこでクリアさせて満足した人は終了。ゲーム的にそれ以上やり込みたい人は裏ボスや続編へ
      • 裏ボスたちの名前が古代ローマと戦った王や反乱軍や蛮族の英雄とかだったりするあたりに、FF15のローマ感と関連して世界設定のモチーフを感じる
  • ネットでの消費っぷり
    • パルスのファルシのルシがパージでコクーン!!!
    • 用語は独特で分かりづらいが、まあやってみれば理解はできる
    • ネットに左右されず、自分の目で見ることが重要
      • じゃあベイマックスも見なよ
      • ネットであんだけいろいろ言われてると見ないほうが幸せじゃないかと感じてしまう
      • 2回見たけど、ゲームのほうが何回も遊びにいけて嬉しいかも
      • FF13は一本道のチュートリアルが長すぎるから1回で満足
  • 昔から一本道だったのでは?
    • 3D化したあたりで問題になった、フィールドマップの見た目と、実際に歩けるコリジョンマップとの食い違いが大きい
      • ドット絵時代は見たままがコリジョン
      • FF7で見た目通り通れないところが増えて不親切になった
    • FF13ではGTAみたいなミニマップでコリジョンが表示されてそうした問題を解消している
      • しかしそうしたことでフィールドの見た目的には広大な3Dの景色が広がっているけれど、ミニマップは細い一本道が浮き彫りになるあたりに閉塞感がある
    • 今どきのゲームやってる人からすれば当然の感覚かもしれないけど、ドット絵時代の文法からするとカルチャーショック
      • 特にドット絵時代だと、見た目的に行けなそうで行けるところ(街から出ないぎりぎりの端っこを回りこむとか)、などを探索する要素があった
      • 今ではそれが全く逆になっていて、見た目とコリジョンは一致してないので、行けるか行けないかはを見た目を確認するまでもなく決まっている
  • The Last of Usも一本道
    • でもミニマップを使ってコリジョンを表示するのではなく、行けるか行けないかをアートワークで努力して見た目的に自然に理解させるようにしていた
    • FFはそうした努力をばっさり切り捨てる文化
    • 日本独自というよりは、MMOとかの文法なのかも
  • 映画的没入感
    • TLoUがそこまで努力して自然な理解を実現するのも、映画的な体験作りがミッションにあるからでは
    • FFのようにアドベンチャーではなくRPGというシステムを追求すると、映画的な見せ方とはどうしても食い違ってくる
    • そうしたRPGシステムを大事にしつつも、シナリオにも力を入れてる
    • キャラクターが成長するRPGではカットシーンでの矛盾が出るのが当たり前で、その問題をプレイヤーは見ないものとするお約束文化が前提になってる
      • バトル中に剣で切られようが銃で撃たれようがたいしたことないのに、エアリスはあっさり刺されて死ぬ
      • だからこそ映画的没入感を追求してもあまり意味が無い
  • ミニマップ
    • コストをかけてるのはフィールド画面なのに、ミニマップしか見なくなるからなるべく見せたくない
    • フィールドの絵作りを優先するとルートが見えなくなる
      • 『Mirror's Edge』では正しい行き先を赤いドアとか赤いパイプとかにして理解させるようにしていた
      • フィールド上で解決しようとするとフィールドの絵作りを損なったり余計な制約やコストがかかったりするので、割り切ってミニマップにしてる?
  • Consistency(一貫性、無矛盾性)
    • FFは大作RPGとしてバトルやフィールド、カットシーンなど、各パートで独立したプロフェッショナルの分業体制を感じる
      • 合わせる気が無いというか、そこまで合わせる必要が無いという感じ
      • 映画的没入感が必要とされるTLoUでは、イベントや操作、バランスなど全てのパートできっちり噛み合わせないと物語に入り込めない
    • それ面白いね
    • 北米に来てから一番こだわりを感じるのは、結局のところConsistencyという理念
      • たとえばUIに限って言えば、Xボタンは水平方向、Yボタンは垂直方向の攻撃とか
      • Xは手を使ったインタラクション、Yは道具を使ったインタラクションとか
      • そういうこだわりがbelievabilityに繋がってくる
      • UI話だったらフラットデザインとかもそういう感じかね
    • FFはそうした統一感が必要でないからそうしてないのか、単純にデザインのコストがかかるからか
      • そもそもユーザーがそんなに没入感を求めていないとか
    • ワンダと巨像』とかだとHUDを無くしたりしてそのへん追求してる感じ
  • RPGが一本道で批判される理由
    • アドベンチャーに比べると、キャラが成長するからでは?
    • 成長に自由度があると、行動にも自由度が求められてしまう
    • TLoUでは武器が増えるくらいで、戦っても旨味は少ないからひたすら前へ前へと逃げ進む意識にさせられてブレにくい。寄り道する理由がない
    • いかにもな行き止まりに意外とアイテムが落ちていない、というのもメッセージ性を感じた
    • FFのほうはちゃんと伝統的に寄り道ルートには必ず宝箱が配置されている
  • 宝箱のデザイン
    • いわゆる古典的な中世ファンタジーの宝箱じゃない
      • イダテンさんのアイコンみたいなメタリックな球体が空中にふわふわ浮いてる
      • インタラクションすると、なんかカシャカシャっと回転して開いて、アイテムがゲットできる
    • 「え、これ、なんなの?」
      • さすがになんか説明されてるでしょ
      • いやこれは全く説明が無かった
      • ラストレムナントでは壺っぽいデザインのものが浮いてて似たような挙動だったので、今作で戸惑うことは無かったけど
    • 保存アイコンにフロッピーディスクの絵を使うのが完全に形骸化して時代遅れとなっているのを見つめ直すようなものかもしれない
      • だからといってこれほどミニマルにただの球になってしまうとは
    • みんな知ってて当然っぽい概念に驚く
      • 間のシリーズ作をプレイしてないからどっかで進化してるんだよ
  • 充実した作品説明
    • オプションメニューにストーリーのログやら用語辞典やらモンスター図鑑など資料はいっぱいある
      • プレイ再開するときにも直近のログが出てあらすじを再確認できるので親切
      • カットシーンで描ききれていないようなことも補足的に説明されている
      • でも宝箱については言及されてなかった
    • TESとかだとダンジョンの置き手紙とかで理解させるようにしてる
  • とにかく低コストを追求
    • 文献はオプションメニュー
    • 会話も近づくだけで勝手にフキダシ
    • 手を抜けるところはとことん割り切ってる
    • TLoUだと置き手紙はテキスト文章だけでなく、手描きのアートワークも見せるようにしているので、殴り書きだったり落ち着いて書かれていたりとかで状況が感じ取れるというこだわりっぷり
    • 結局RPGとして戦闘が一番のメイン
      • だからそれ以外のところはこだわってもしょうがないというか、追求できない

[2:46:33] 次回展望、エンディング

  • まとめ
    • ゲームというよりは映画作品という見方で捉えたい
    • 映画的側面が強いけど、戦闘には強いこだわり
    • 毎回システムが変わる
    • FF13のバトルデザイナーはフロントミッションを作った土田俊郎氏で、不要なシステムをばっさり切り捨てて新しい要素を作ったりと定評がある人
  • 戦闘クリア目標タイムとか
    • ここまで厳密に管理されたものをプレイしてみると、洋RPGでは逆にそういう管理は少ないんじゃないかと感じる
      • まあベセスダゲーしかやってないのでアレだけど
        • 難度設定もスキル構成も全てプレイヤーの裁量次第というゲームでは、厳密に管理してもしょうがない
        • 余裕で超楽勝だったり、理不尽すぎて攻略不可能だったりという状況になりがち
        • でもそれがいい
    • そのへんの職人芸はプレイヤーから金を引き出していく仕組み的に今どきのF2Pゲームでは当たり前になってる
    • 厳密な管理は好きじゃないけれど、ドラマを展開する上での積み重ねとしてはよく機能していた
  • 次回予定
    • また4ヶ月後?
    • Mount & Blade 2が出るくらいじゃない
    • M&B2が出ないからローマのゲームやってたんだった
      • 『Rome2: TotalWar』と『Hegemony: Rome』
    • もうだからさ、みやおかさんやってるゲームってみんな同じようなゲームじゃん
      • ちがうんだって!!
      • まとめて一つにできないの?
      • M&Bは13世紀の中世ヨーロッパだし、古代ローマは紀元前だよ??1000年以上も違うんだから!!

[2:58:20] 引き続き余談30分

  • 反省会
    • また長くなった
      • もうすっかりめぐみさんもお休みに
      • とっくだよ
  • 独特さを求めてる
    • 大作洋ゲーひしめくsteamのライブラリで光る
    • 日本産というよりスウェーデンRPGとかだったらもっと気になるじゃない
  • 『Be Kind Rewind』(邦題:僕らのミライへ逆回転
    • ファンメイドのオマージュ映画作りをテーマにしたゴンドリー映画
    • 偽物だけどレンタル客にはウケて、スウェーデン産のリメイクだからと説明する
    • Swededという造語。youtubeで検索するといろいろ出てくる
  • 日本文化を異文化として享受する
    • 全然知らない国のゲームだって視点でプレイするともっと素直にプレイしやすんじゃないかなと
    • なぜか日本人なのに
  • 「これをおいしいとする」
    • 恩師の言っていた言葉
    • そうすることで先入観を捨てて捉えられる
    • 寄生獣』の実写映画公開直後にまたクソ映画が〜みたいなエントリがたくさんブックマークされてたけど、少ししたらもっと詳しい人が褒めてたりした
    • いかにも脊髄反射的なエントリだし、ブックマークも脊髄反射的で危ういなと思った
  • 結局作品そのものというよりは文化の差異が面白い
    • 日本のゲームの文化コンテクストをそうした視点で捉えると、日本人だしよく分かる
    • 逆に海外作品では、「自分が何を分かっていないのか、ということが分からない」という永遠の壁にぶち当たる
    • 同文化でも10年違えば世代間の理解の壁もある